反哲学入門

反哲学入門

反哲学入門

久しぶりに哲学に関する本を読んでみた。

この本は哲学とは何ぞやという定義とその歴史的変遷を紹介してから、その限界に気付いて以降の今に繋がる反哲学の流れを紹介している。

比較的わかり易く書かれているのでオススメ。

哲学とは、そもそもプラトン以降の西洋的な考え方で、現実世界とそれを外部から見る視点とで構成されている考え方のことだそう。現実世界が何故あるかを考えるのに、現実世界を超越する視点を用意したということ。例えばプラトンでいうところのイデア論に相当する(現実世界は普遍的で変わることのない真理であるイデアの模造(影)に過ぎない)。

この考えは、「神の世界」、「人間の世界」と分けて考えているキリスト教の論理的根拠を説明するのに用いられ、そのため、広く人々の考え方の基礎になっていった。

ニーチェが失望し、そのニヒリズムの中から「神は死んだ」と言うに至るまでは、この哲学が西洋の考え方の中心にそえられていた。

反哲学とは、これら西洋の哲学を否定・再構築する考え方のことで、ニーチェ以降に盛んになる考えである。

哲学というとなんだか難しいことを意味もなく考えているという風に思っていたが、この本を読んでみて、哲学(反哲学も含め)とは、その当時の人々の考え方(生きる目的と言った方がいいのかもしれない)の論理的根拠を説明するものだということを教えられた。哲学は歴史と絡めて学ぶととても面白いと思う。

人間のものの考え方の根拠がわかると、現実世界の判断にも役に立つ気がする。逆にそこまで理解しないと只の言葉遊びになってしまい、何の意味もないのかなと思う。